経済の高度成長によって砺波平野でも多くの道路が建設され、自動車が盛んに行き交うようになりました。道路には、自動車だけが走る「自動車道」、国が管理する「国道」、県が管理する「県道」、そして、市町村が管理する「市町村道」があります。また、農業を振興する目的で作られたスーパー農道もあります。
北陸自動車道は、1973(昭和48)年に砺波IC(インターチェンジ)ができ、砺波と小杉が開通しました。その翌年には、砺波ICと金沢東IC間も開通し、関西方面と結ばれました。また、東海北陸道の建設も進み、1992(平成4)年には、小矢部砺波JCT(ジャンクション)と福光ICとの間が開通し、2000(平成12)年には、福光ICと上平の五箇山IC間も開通しました。そして、2008(平成20)年、未開通であった白川郷ICから飛騨清見IC間も開通し、小矢部砺波JCTから一宮JCTまでの全区間が通行できるようになりました。
小矢部砺波JCTを起点にして、高岡市や氷見市、能登方面へと延びる能越自動車道は2009(平成21)年には氷見北ICまで開通しています。
一般道では、国道156号線、304号線、471号線という五箇山地方へ通じる道路も順次改良が進んでいます。陸の孤島と呼ばれることもあった五箇山地方でしたが、道路幅の拡張やトンネルの整備が進んだ現在では、平野部との交通が大変便利になりました。 道路がよくなって自動車交通が盛んになると、地域の様子が大きく変わりました。広い道路が網の目のように発達したことによって、買い物客を広い範囲から集める大型ショッピングセンター、各種専門店、飲食店、ドラックストア、家電量販店などが立ち並んでいます。
自動車が普及したために、砺波平野の中心部にある砺波市に限らず、小矢部市や南砺市でも郊外や国道沿いに新しいショッピングセンターや専門店、飲食店などができ、周辺からたくさんの客を集めるようになりました。
一方、道路幅が狭く自動車の通行が不便な昔ながらの市街地では、店を閉めたり郊外に移転したりして、シャッターが降りたままになっている店や事業所が目立つようになりました。このようなところでは、市街地の一角に共同駐車場を設置したり、魅力的なイベントを合同で開催したりするなど集客対策に努めています。
日本の経済は、1973(昭和48)年の石油ショック後の安定経済期から1980年代後半のバブル経済期を通して、「地方の時代」と言われるようになりました。1980年代の民間活力導入や地域づくり推進事業などで、地域興しが盛んに行われるようになりました。それぞれの市町村や行政と民間が資金を出し合って経営する第三セクターなどで、砺波地方の各地に美術館、博物館、スポーツ施設などが建設され、様々なイベントが行われるようになりました。旧庄川町の「庄川美術館」、旧福野町の「福岡文化創造センター“ヘリオス”」、旧福岡町の「イオックス・アローザスキー場」、そして旧井波町の「木彫りの里創遊館」などはその代表的なものです。
中でも、砺波市や旧井波町の取り組みは、停滞しそうになる町の雰囲気を一変させたという意味で特筆すべきものです。
砺波といえばチューリップの街。その市の特徴を最大限に発揮して行われるのが、チューリップフェアです。2011年で60回を数える伝統ある春の祭典ですが、毎年全国から多くの観光客が訪れています。近年では、チューリップ公園ばかりでなく、チューリップ四季彩館、砺波市美術館、庄川美術館、となみ散居村ミュージアム、砺波郷土資料館、出町子供歌舞伎曳山会館(ゆめっこホール)などの施設や市街地も回って楽しめるようになるなど、全市挙げてのイベントとして発展を続けています。
また、旧井波町では、町の特徴を生かした賑わいを創出するため、瑞泉寺の参道である八日町を石畳にしたり、通りに面した空き店舗となっていたところを彫刻師の出店にしたりしました。また、「いなみ国際木彫刻キャンプ」を開催し、世界の彫刻家が井波に集い作品づくりに取り組むというイベントも創出しました。このように、瑞泉寺と井波彫刻を核とした「信仰と彫刻の町」を大きくアピールした町づくりは、映画やテレビドラマの舞台として取り上げられるようになってからはさらに大きく飛躍しました。
【砺波市立砺波散村地域研究所『砺波平野の散村「改訂版」』2001年より抜粋】
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