森のような屋敷林
根井仁一宅 城端町西明
根井宅のある西明地区は南砺の山麓に形成された小扇状地上にあり、山地斜面を駆け下りる南南東の強風が卓越する地域である。各戸は卓越風の方向に厚い防風林を維持している。そのなかでも根井宅は屋敷の広さと樹木の多いことで抜き出ている。
家の向きは、この地域では北および西向きが一般的である。根井宅も正面は北向きであるが、日常は道路よりの西向きの玄関を利用している。屋敷の全周囲におもにスギの垣を巡らし、そのなかに、スギ、ケヤキ、アスナロ、ハンノキなどの郷土樹種を植え、スダジイ、シラカン、コウヨウザン、イチョウ、カエデ、サクラなどの庭木、クルミ、カキ、ナシ、ウメ、ユズなど大きな果樹が垣根に沿って植えてある。その数は高木94本、うち74本がスギである。離れて眺めると屋敷林というより森と表現した方が当を得ている。
根井家はいわゆる旧家で、戦時には率先して共木を行ったことから、大半はその後に植えられたものである。少し残されたもののなかのケヤキやハンノキなど、成長の早い木が、まわりの木を圧倒して立っている。ハンノキは以前、この地域で稲架木(はさぎ)として植えられていたが、圃場整備後全くその姿を消した。ハンノキの成長の早いことを「ハルノクの如し」といったり、火葬の木と呼ばれたりして親しまれたものである。
納屋の裏手にモウソウチクの林がある。またギボウシやウド、ミョウガ、ウワバミソウ、オウレン、カリソウなどの山野草が除草時にものこされて、意識的に配置されたように繁茂している。イチ、アジサイ、ツツジ、ヒイラギ、サザンカ、サルスベリなどたくさんの花木が座敷から眺められる東の一角に植えられているが、整姿の手だてなどはなされていない。
木が多くても屋敷の内はかなり明るい。それは母屋のまわりから、樹木を話してあることと、スギなどは山の木を育てるように枝を落してあり、除草がゆきとどいているからである。根井家が屋敷林を育んでいるその想いの中に、意識的にあるいは無意識に、山づくりの感性が息づいているように思える。
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