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砺波市の保存樹【生け垣】(その1) 2014.12.25
散居の里の生け垣

□散居の里の屋敷林(カイニョ)にマッチした生け垣

  砺波平野は、大きく育ったスギの屋敷林に囲まれた家々が点在している散居村である。

 屋敷林は、住宅の周りにスギやケヤキの高木、カエデやツバキといった低木、また、カキノキ、クリ、ウメ、グミなどを混植し、花や実を味わうゆとりの暮らしを楽しみ、宅地の外囲いとしてスギ、ヒバなどで生け垣が作られている家が多かった。

 屋敷林は厳しい冬の寒さと、夏の暑さをしのぐための暮らしの知恵であり、生け垣もまた、防風や騒音を吸収する防音壁の役目を果たし、ほこりを防ぎ、水分を含んだ樹は燃えにくいので、防火や外からの侵入防止にも役立ってきた。


□これからの生け垣

 散居の里の屋敷にマッチした景観の美しい生け垣であってほしい。季節によって色が変わり、花が咲き実が生るなど家の中から四季を楽しめるものがよい。加えて道行く人々の心を慰め、美しいまちづくりにつながるものであってほしい。

 このため、砺波市では平成5年3月に花と緑のまちづくり条例を制定し、生け垣設置に補助金を交付している。

 モデルとなる生け垣に対して、保存指定を行なった。緑花への関心や、維持管理、成育技術の向上を図るため生け垣コンクールも行なわれている。


□生け垣保存の指定にあたって

 このたびの生け垣保存の指定にあたっては、各地区より申請のあったものより、樹種別、維持管理の良好なもの、そして住宅、屋敷との調和のとれたことなどを考慮して選定した。

 時代の移り変りと生活様式の変化に伴なって、生け垣の造成も石積みやブロック囲いの上に植えられた生け垣も増え、また、植えられる樹種も多くなっている。一方、これまで長く親しまれたスギによる生け垣が少なくなっている。

水野豊孝宅の生け垣

 大谷石二段の上にツバキ、艶のある広葉が美しい。東、南、西側に植栽されている。ツバキは自家で挿木し殖したもの五品種植えられている。早春に咲くものから一重咲き、八重咲き、花の色もピンクから赤など楽しい生け垣である。ツバキは本来半日陰によく育つ樹であり春には肥料も施され、病害虫防除等などとよく手入れされている。

・指定番号 9
樹種 ツバキ
延長 61m
所在地 矢木

今井多鶴子宅の生け垣

 カイヅカイブキが主体で、西、北側はスギ、カシの生け垣である。枝が密生し、枯れ込まないように剪定時に風通しを配慮するなど手入れもよくされている。カイヅカイブキは日当たりのよい乾燥気味のところが適しているので南側の生け垣に使用されている。肥料切れにもよく配意された緑豊かな生け垣となっている。

・指定番号 1
樹種 カイヅカブキ、スギ、カシ
延長 95m
宮村

永田俊満宅の生け垣

 イチイを使用した珍しい生け垣であり、庄川産の玉石積の上に、東と南側に美しく植栽され見事なものである。イチイは萌芽力が旺盛な樹種であるので、常に留意しないとこ様な美しさを保つことはできない。5月から6月に施肥をして新緑を楽しむことができる生け垣である。

・指定番号 2
樹種 イチイ
延長 58m
所在地 苗加

【砺波市保存樹等指定委員会『散居のみどり−砺波市の保存樹− 』平成9年より抜粋】

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