上和田・池原サイフォン
2014.11.27
和田川左岸からの引水施設
上和田・池原サイフォン
上和田村の南に位置する池田新村は、池原村と上和田村・正権寺村の3か村領の地を貞享2年に畑直しして村立てした村で長い間水かかりが悪かった。そのため、昭和戦前、池田新村の竹田得雄が一念発起し、芹谷野用水から水を引くためサイフォンを作った。昭和13年に工事にかかり、同15年に完成した。
福岡のおたれ水を集める谷から引き(福岡の排水)、旧栴檀野小学校の下の方の谷から暗渠として和田川の下をくぐらせ、上和田村の熊野神社境内にサイフォンを設置してふき出させた。そこからは、その高さを維持するため道よりも高い石組みの導水路が作ってあったという。そこから、県道を越えて、南東方向の正権寺村との境、かつての丸山古墳のあったところの一帯まで引いてゆき、水田の灌漑用水とした。この導水路は水がどの方向へ流れているのかわからないくらいのゆるやかな傾斜だったという。
このサイフォンは、昭和53年の圃場整備で県道坪野小矢部線縁の北側へ移転し、現在も使用されている。それに伴い、昭和15年に設置された熊野神社境内のものはその跡だけとなっている。
昭和17年には、池田村でもサイフォンが設置され、それまで水かかりの悪かった南山 のあたりの水田一帯に灌漑用水として使われている。これは、和田川対岸の福岡の庄東第一発電所のあたりから取り入れ、和田川を橋で渡してふき出させている。ここには昭和17年4月の竣工を記念した石碑が建てられている。