正倉日記

 

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砺波のお地蔵さん

2017.8.22

人々を見守る素朴なホトケ

千光寺(砺波市芹谷)の地蔵堂

千光寺(砺波市芹谷)の地蔵堂

「お地蔵さん」と聞くと、道ばたにたたずむ石で出来た仏像を思い浮かべると思います。ただし、道ばたの仏像は何も地蔵だけではありません。観音や阿弥陀の像も作られています。しかし、松川除堤防の近くにある阿弥陀如来像が、「御川除地蔵」という名称で文化財になっているように、地蔵以外の石仏も地蔵と呼ばれます。

 

また、「地蔵」は若者言葉にもなっています。音楽のライブなどで一緒に盛り上がらない人や、ナンパの際に勇気が出せなくてただ立ってるだけの人を「地蔵」と呼ぶのだそうです。

以上の2つのことからは「道ばたにたたずむ石の仏がお地蔵さんである」という認識がいかに広く人々に受け入れられているかが窺えます。


そもそも「地蔵」とは、バラモン教における大地の神格が「地蔵菩薩」として仏教に取り入れられたものです。釈迦が亡くなってから弥勒が生まれるまでの567千万年の間、人々を救済する存在でした。命あるものは皆亡くなると六つの世界のいずれかに生まれ変わると言います。これを六道輪廻といいます。地蔵菩薩は、そのそれぞれの世界で人々を救うのだそうです。現在でも墓地や寺院の入り口に六体のお地蔵さんが並んでいるのは、死後、どこに生まれ変わっても地蔵に救ってほしいという願いが込められているのです。

昭和55年から昭和63年の間に行われた旧砺波市の石仏悉皆調査の成果によると、旧砺波市の石仏の総数は1079体とされています。その内648体が地蔵菩薩であり、真宗王国でさえ地蔵が篤く信仰されていた事が窺えます。また、砺波周辺では地蔵盆または地蔵祭りと呼ばれる行事が毎年7月〜11月の間に行われます。

地蔵祭り(地蔵盆)が多く行われるのは「盆」と言うだけあって8月のお盆の時期が多いようです。また、24日は地蔵の縁日とされており、824日にも行う地域も多いです。
今は大人が行事を行っていますが、ちょっと前までは子供が世話役を担っていました。お坊さんに読経を頼むときのお布施やお供え物を用意するのも子供の仕事でした。地蔵はちょっとした縁があれば救済をしてくれる存在であり、子供の遊びでも小さな善行として縁を結べるのだそうです。そのため親は子供に地蔵祭りをさせたのです。

地蔵ではなく聖徳太子像を祀る、太子様祭りを行う地域もあります。これは井波瑞泉寺の太子信仰の影響を受けたものであるといえます。富山県は真宗王国とよばれるほど浄土真宗が盛んな地域です。地蔵祭りの読経も真宗の僧侶が行うケースが多くみられます。このように、真宗の影響を受けつつも地蔵が篤く信仰されるという事は、砺波における地蔵信仰の特徴であるといえるでしょう。