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砺波の生活・生産用具 2020.5.12
失われた砺波地方の暮らし、日常生活を探る

農耕用具

砺波の生活・生産用具
(となみのせいかつ・せいさんようぐ)

平成29年3月3日 重要有形民俗文化財指定
砺波市(砺波民具展示室・となみ散居村ミュージアム民具館保管)
6,900点



 重要有形民俗文化財に指定された6900点は、生活用具と生産用具の二つに大きく分けられます。
 生活用具は衣食住の生活用具、社会生活、手仕事、娯楽・遊戯、信仰儀礼の用具、計3202点です。そして生産用具は、農耕用具1634点をはじめとして、漁撈(ぎょろう)、山(さん)樵(しょう)、養蚕(ようさん)、紡織(ぼうしょく)、諸職、商業に関わる生産用具の、計3698点です。

 重要有形民俗文化財に指定された6900点の他にも、市指定の砺波の民具があります。こちらも砺波民具展示室でご覧いただけます。


 砺波の民具の特徴は以下の6点です。

 @砺波市内からだけでなく、旧砺波郡から民具を収集しました。これにより、米の単作地帯としての庄川の扇状地全域を視野に入れることになりました。民具は寺社に奉納されたものではなく主体的に収集したものであり、6900点という数は重要有形民俗文化財の中でも4番目の点数です。
 A同じ種類のものを多数集めたことで、改造、変遷過程そして地域的な分布、流通を知ることができます。
 B螺旋水車、金岡式乾燥機など、砺波地方で独自に開発・改良された農具に注目して収集しています。螺旋水車は砺波で生まれ、全国に広まった農具です。
 C大正期から行われている、砺波特産のチューリップ栽培に関する農具を収集しています。
 D稲作だけでなく、副業としての大門素麺、苧(お)うみ(麻をよってオボケ(苧(お)桶)にためる)、機織り、筵(むしろ)編みなどの道具を収集しています。
 E農村の住民の暮らしを支えた、大工、壁屋(左官)、屋根葺き、石工、鍛冶屋(かじや)、桶屋、カゴ屋などの職人の仕事道具も収集しています。



重要有形民俗文化財としての評価

「北陸地方の農村の生活や生業の実態や、地域的特色、変遷をよく示しており、我が国の日本海側、特に北陸地方の平野部の典型的な農村の生活や生業を総体的に理解する上で重要な物である。」

・旧砺波郡を収集範囲とし、砺波地方の人々の生活・生産の全体全体を網羅している。
・同じ種類のものを多数収集したことで、民具同士を比較してそれぞれの改造と時期による変遷が読み取れる。
・砺波地域で独自に発明されたり、改良された農具を収集している。
・生業の農業だけではなく副業の民具も収集している。
・砺波地方が北限と考えられる民具や、東日本と西日本のそれぞれに顕著な民具が混在する、東西文化の交流地点であったことが示されている。


収集のはじまりと進展

昭和42年(1967)に、旧太田小学校PTA役員であった佐伯安一氏(1930-2016)が、PTA活動の一環として太田地区で使われていた民具の収集を始めました。時代は高度経済成長。ほ場整備、家屋の改築が砺波でも進み、使われなくなった古い農具や生活用品が次々と捨てられていました。民俗学者で、後に砺波郷土資料館館長となる佐伯氏は心を痛め、PTAと学校に働きかけたのでした。氏はその後も砺波の民具の収集と分類に大きく関わりました。

 昭和52年(1977)、婦人ボランティアのぎくグループによる仕事着の収集が加わりました。仕事着は地域性がありますが、真っ先に捨てられてしまう貴重なものです。そして昭和58年(1983)、砺波郷土資料館が開館し、ボランティアグループのえんなか会やNPO法人砺波土蔵の会の協力もあり、民具の収集と分類が引き継がれました。平成19年には5528点が砺波市指定文化財に指定されました。平成21年(2007)、となみ散居村ミュージアムが開館し、旧出町小学校の校舎を一部を移築した民具館に、代表的な民具が展示されました。平成27年には砺波市立庄東小学校3階に民具展示室が開館しました。その後も再整理が行われ、平成29年3月3日、「砺波の生活・生産用具」は重要有形民俗文化財に指定されました。

 同じ種類のものでも断らず、寄贈によって資料を収集しました。民具を持ち込んでいらっしゃる方も多く、所有者の方から、誰がどのように使用していたのか聞き取りを行いました。どの地域で使われていたのかも記録しているので、砺波地方の中でもその民具がどのように分布してたかが分かります。また同じ道具でも、用途が異なれば異なる産業に分類しています。

 民具の保管場所は太田小学校の空き教室に始まり、取り壊しや開発に伴い何度も移っています。その度に民具の移動が行われました。現在民具展示室がある庄東小学校には、当時出町小学校旧校舎と般若中学校旧寄宿舎に分散していた民具を、1箇所に保管するため移ってきました。

 


金岡式乾燥機  砺波で発明され広まった用具

 金岡家第3代の金岡甚三(1875-1965)は穀類乾燥機を発明し、大正8年金岡乾燥機製作所を設立しました。秋の収穫期に雨が降り続くと稲が発芽してしまうため、籾を一度に均一に乾燥させる乾燥機を開発しました。乾燥機の燃料には脱穀した後に出る籾殻を利用したので全国に普及し、戦時中には朝鮮や台湾にまで広まりました。近代的な乾燥機の普及によって使用されなくなった後でも、球根栽培農家では球根の乾燥に使用されていました。

LINK

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所在地
〒939-1431 富山県砺波市頼成566(庄東小学校敷地内)砺波民具展示室

アクセス
砺波民具展示室:高岡砺波SICから5分

お問い合わせ

砺波郷土資料館
電話番号:0763-32-2339
FAX番号:0763-32-2436

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