市内の方から驚くべきものが持ち込まれました。
それはなんと、増山城跡二ノ丸から出土した陶磁器です。
黒く光るこの陶磁器は、瀬戸美濃焼の鉄釉茶碗でいわゆる「天目茶碗」と呼ばれるもの。
『日本考古学用語辞典』(斎藤忠著、1998)の「天目」の項には、次のようにあります。
@陶磁器の一。釉の名にも用いる。黒く発色している鉄釉またはこれをかけた容器であり、漆黒色・茶褐色を呈し、光沢があるが、光沢のないざらざらしたものもある。盞(さかずき)形が多いが、椀の形もあり、天目茶碗の名もある。
A『類聚名物考』(巻256・調度部1)に、次の文がある。「天目ハ茶碗の名なり。茶碗天目と連ねいふを思ふに天目ハ茶家にも用ゆる物にて唐物なり。西土の天目山より出る物故直に用を体に名付て天目といふが如し。(後略)」
さて、増山城跡では同じような鉄釉茶碗が法花坊峠遺構やF郭などでも出土しています。
今回持ち込まれた遺物は、年代的には16世紀末から17世紀初頭の頃のものと思われます。
これまで二ノ丸では遺物が出土した記録がないことから、今回持ち込まれた遺物は二ノ丸の年代を探る上でも貴重な発見だといえるでしょう。
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