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C富山県球根協会設立 2014.5.8
富山県球根協会設立

 21年、敗戦の混乱の中で関係者の調査により、かろうじて原種を保存していた者が県下15か町村に120名おり、作付けも2.1ヘクタールあることが分かった。これらの全栽培者に呼びかけ昭和21年4月6日、出町園芸分場に全員が集まり富山県球根協会を設立した。


富山県球根協会発足当時の役員
 会長  四谷順三
 副会長 瀬尾正雄
 理事  水野豊造 高橋善治 出村一郎
     清都政次 大窪久太郎
 理事  今井庄平 平木三郎

富山県球根協会の理念

 この頃の栽培者たちは、敗戦で疲弊した国家の復興に何とかして貢献したいと考え、チューリップ球根の輸出によって外貨を獲得し日本経済再建に寄与したいと真剣に望んでいた。戦前の数々の苦い経験から、当協会は自主統制の確立に主眼をおいた。すなわち出荷統制・品質統制・価格調整の三点である。

出荷統制
 前のように商社による産地買い付け方式では出荷先に対し富山チューリップとして責任を負う真の輸出産業の育成ができないと、生産者の手による生産から輸出産業の育成ができないと、生産者の手による生産から輸出業務を含む販売までの一貫した出荷体制を確立しようとして関係機関に請願、陳情を行った。しかし、一笑に付され、農民団体が貿易業務に携わる難しさを説得され、無茶な要求であることを知らされた。ところが21年の暮れ、三井物産から申し入れがあり、輸出の主体はあくまで組合にあるとする代行輸出方式をとることになった。

品質統制
 観賞植物はファッションと同様に流行と多様性を指向するものであり、常に需要の動向や消費者の指向の変化に対応して品種をそろえることを要求される。そこで必ずしも生産者の思惑によるのではなく、組合が想定する花色バランス、その他の要因にしたがって個々人が栽培する作付け品種の制限、割当などに細かい指導を行う。

価格調整
 花卉球根は品種により栽培の難易、収量、市場性にかなりの差があり、また同一品種でも販売形態等によって価格に差が生ずる。そこで球根販売代金をプールして、品種による収量性、対病性、栽培の難易度、収量の早晩性、市場性等を加味した価格調整基準表を作成し、これによって組合員へ品種と出荷数に応じて再配分する方式を取る。

 このようなかなり濃密な組合の指導のもとに栽培が続けられてきた。

戦後の初輸出10万球

 昭和22年、戦後初の輸出を行うべく集荷し、輸出調査も受けたが、貿易機構の改正により書類作成が遅れ実現しなかった。翌23年は早くから準備を進め、富山県から輸出農産物第一号としてチューリップ球根10万球をアメリカへ初輸出した。


【砺波郷土資料館・砺波市文化協会 『となみのチューリップを育てた人びと』1996年より抜粋】

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