砺波市の文化を、デジタルで楽しむウェブサイト。TONAMI DIGITAL ARCHIVES

2近世 絵図にみる流送ー『運材図会』を例にしてー(その2) 2015.2.5
川下げ(川の本流で木材を川下へ運ぶ)

材木川下舟場仮橋之図

材木川下舟場仮橋之図

材木を留綱(とめづな)よりくり出し
畢(おわ)るまでは
船橋 かよは(わ)ざれば
材も(っ)て かりに
橋を架けて
往来をする也


◆意味

材木を留綱から 繰り出し終わるまでは
渡し船が通えないので
留め綱に木材でもって 仮に
橋を架けて 往来をする

※留綱(とめづな)とは
川下げした木材を一時的に留めておくための、綱で作った簡単な堰。

 

勝咽喉之図(かちのどのず)

飛騨河ハ 河の上下にては 幅七八十間も
あるほどの大河なれども
美濃国 勝村の咽喉といへる
処にては 二間半の材もたんばに
かかれるばかり 河幅狭くて 雇丁等日数を
あまた かかりてせりながし 又 手にあひがたき節
にはかぐらさんも(っ)て 巻あげかかれるを流遣なり


◆意味

飛騨川は 上流も下流も 川幅が7、80間(130〜140mほど)
あるほどの 大河であるけれども
美濃国(みののくに)の勝村(かちむら)には咽喉(のど)と呼ばれる
ところでは二間半(4m50cm)の材木も 端に
掛かってしまうほど 川幅が狭くて 人夫たちが日数を
たくさんかけて流す 又 手にあまる時には
神楽桟を使って 巻上げて流した


※神楽桟(かぐらさん)とは 重いものを持ち上げる装置。

 

七夕とは

深い谷間の絶壁の急流で、人も立つことが出来ないようなところで材木が引っかかった場合、「七夕」と呼ばれる方法で木材を流しました。

図のように、人夫の体に縄を巻き、左右の崖から吊り下げておろし、斧で引っかかった材木の半分ほど伐ったところで合図をしてます。上で縄を持つ仲間がその人夫を左右で引き上げます。その後、後方から来た他の木材の力によって引っかかった材木を押切り、怒濤のごとく流れるという仕組みです。

縄1本で吊り下げられた人夫の姿が七夕の手向(たむ)けの提灯が縄に垂れている状態に似ているところからきていると記されています。

 

大材縢桴之図(たいざいちきりいかだのず)

檣などの大材を
川さげするには
出水を見あはせ
前後左右に
長二間に五六寸の
角を十本ほど
機具(はたぐ)の縢(ちきり)のごとく
藤曼もてからみ
大材のめどへ貫き
ゆひつけて左右
二人づつ前後乗人
八人樴八挺にて

のりてだすとそ 其(それ)は
文化の初年美濃國加茂郡
小田原村なる白山の社木を
同国小川村善七といへるもの
帆柱材四本きり出せしをりに
しかせしとぞ
附船(つきふね)には轆轤(ろくろ)一艇真物綱二房
のせて指配人雇丁など一四、五人
のりて大材にそひて力を添(そえ)る
ことなりとぞ




【砺波郷土資料館『流送に生きた人々展示図録』平成26年より抜粋】


「流送に生きた人々」の他の記事

MORE

「庄川」のタグの記事

MORE