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5近現代 庄川の流送(その2) 2015.2.5
伐採

伐採

地元の樵(きこり)杣夫(そまふ)が木を伐採、造材する

環(かん) ・・・切り倒した木材に打ち込み、縄をかけて地引きして運ぶ

集材 山出し

 切り倒し、造材された材木を川岸まで搬出・集材する作業のことを一般に山出しといいます。伐採した山の位置や地形、地理的条件によっていろいろな方法がとられました。

修羅(すら)出し
  一般に小谷まで出す方法としてよく使うもので谷の急斜面を利用し、長さ1間〜2間の細い丸太を樋形に敷き並べ、材木を滑り落す方法です。急斜面を落下するその様が修羅のごとく跳ね返り落ちるところからその名前がつけられています。 少しぬれると滑りが良いので晴れの日は水をかけて滑らせた。雨の日は帰って好都合休んでなんかいられなかった。

木馬(きんま)出し
 一般に勾配のゆるい比較的遠い距離を大木をソリに乗せて運搬する方法です。これに用いるソリは滑り板に樫などの硬材2枚を使い、枕木をはしごの手のように組んだものです。平地の場合、木馬と枕木には種油を塗って滑りをよくしましたが、ゴトンゴトン音を立てるようになると熱のため煙が出ました。また急斜面や曲がり道ではその操作に絶えず危険が伴いました。木馬道(きんまみち)は長いところで4km余りに達するものもありました。

谷出し

 集められた木材を谷から支流へ入れ、本流まで運ぶことを谷出しといいます。伐採地が年々奥山へと入り込むにつれて、谷出しする距離も長くなりました。深い谷から数十kmも谷出しすることは特にめずらしいことではありませんでした。この谷出しを小谷狩りともいいます。支流は水量が少ないので、一般に鉄砲出しという方法が多く使われ、本流まで大量の材木を運びました。


鉄砲出し(てっぽうだし)

 鉄砲出しは、水量の少ない支流の川で材木を流す方法です。川を堰き止め、この堰谷入れした木材がいっぱいになったとき、水門を開き、奔流(ほんりゅう)する勢いで多量の材木を一時に下流へ流す仕組みです。

 この方法は、一度に多量の木材を能率よく運搬できますが、仕掛けが大きいため危険を伴い、失敗して死亡事故を起こしたこともありました。

 また、この方法は木材どうしがぶつかりあうので、木材が痛みました。

 「鉄砲出し」の名前は、山のような材木が一気に轟音(ごうおん)とともに奔流(ほんりゅう)する、その音を形容したものです。





【砺波郷土資料館『流送に生きた人々展示図録』平成26年より抜粋】

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