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2 気負いなく、手を加えながら住まう(その1) 2013.3.26
古いものと新しいものが、ごく当たり前のように混在する家

気負いなく、手を加えながら住まう

<古い物を直しながら、独自の工夫も加える>
松田さんのお家の特徴は、広々とした庭園と個性的なオモヤ。アズマダチの多くは、白色漆喰に格子状の柱が入ったデザインだが、このお宅には鏝(こて)絵が入っている。また、正面下屋の上の飾り腰瓦(土板瓦)も立体的で、この家を建てられたご先祖は随分と粋な方だったのだろう。
「100 年は経っとると思うけど…」お話をうかがった松田しのぶさん。お父様の代で6代目になるそうだ。「庭木は父、お花は母が担当。私は…小物の担当(笑)」としのぶさん。玄関先の石をくりぬいた水鉢には、かわいい金魚の置き物が。100 円ショップで買った
というが、言われなければそうは見えない。
ガーデニングで使う木製フェンスが、玄関の目隠しになっていたり、雪囲いの土台をそのまま活用して、すだれを挟んで夏の日差しよけになっていたりする。
その日よけには、セミの抜け殻が。セミも居心地のよい場所を知っているのだろう。
黒光りする玄関の床や廊下は、実は漆ではなく市販のニスを1 年おきに塗っているそうだ。和室の扉を取っ払い、ゴザの長座布団が敷いてある玄関は、ちょっとした応接間にもなっている。
昔のものを今の生活様式に合わせて使いながら、直すところやアレンジするところがうまく組み合わさっている。肩に力が入っていないのに洗練されているのは、ご先祖から遺伝子レベルで引き継がれたセンスに違いない。

松田邸

伝統的家屋(アズマダチ)。
築約100 年。鏝(こて)絵の入った壁と広い庭園が特徴。
廊下と和室
広々とした玄関と長座布団

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