苗加板碑
2014.8.18
南北朝時代の関東型板碑
苗加板碑
平成23・1・26登録
個人(砺波市苗加)
苗加板碑は平安時代末期の武将斉藤実(さね)盛(もり)の末裔と伝わる旧家の庭に所在します。
中世までの砺波は洪水の比較的少ない土地に小さな村々が生まれていました。苗加周辺はかつて野尻川の氾濫原でしたが、文禄三年(1594)に前田利長が野開き申付状を出して以降、急速に開拓が進んでいきます。
苗加板碑は供養塔として造立された2基の板碑と2体の石仏から成り、板碑に彫られた「康暦(こうりゃく)二年」(1380)の年号から、板碑は南北朝期に造立されたものと考えられます。また、その石材は関東地方で採掘されるもので、この地方の板碑には極めて珍しいものです。
一方、石仏は高岡市雨晴周辺で採掘される石材を使用して目鼻立ちのはっきりとしない如来形の坐像を浮彫りにしています。こちらの石仏も造立年は南北朝期であろうと考えられています。
時代と距離を越えて、どのような経緯でこの地に板碑が持ち込まれたのか。想像してみるのもおもしろいですね。