正倉日記

 

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【縄文時代中期前葉のニュータウン】

2016.2.18

【2016.02.14Facebook記事より】

【縄文時代中期前葉のニュータウン】

 先日、とある俳人の方が「厳照寺遺跡をネタに一句詠みたいので、遺跡について教えて欲しい」と訪ねて来られました。驚くとともに、こういう分野の方にもニーズがあるのだなと思った次第です。

 さて、皆さんは砺波市福岡にある厳照寺遺跡をご存知でしょうか。実は知る人ぞ知る、縄文の有名な遺跡なのです。

 厳照寺遺跡は、砺波平野の東側を一望できる芹谷野段丘に存在します。この遺跡からは、縄文時代中期(約4000〜5000年前)の遺物や遺構がいくつも確認されているほか、平安時代の遺構なども見つかっています。出土品の多くは縄文土器ですが、その量や質が良好なので「厳照寺T〜V式」として、一時期は県内の標識遺跡にもなっていました。

 出土品は土器の他にも、縄文時代の竪穴建物跡や穴、埋葬施設の埋(うめ)甕(がめ)、土製品の耳(みみ)飾(かざ)り、土偶(どぐう)などがあります。また、石器では漁労用の網に付ける石(せき)錘(すい)、狩猟や木の伐採など多目的に使われる磨製(ませい)石(せき)斧(ふ)、木の実などを磨り潰す擦(すり)石(いし)、狩猟の際に矢の先端に用いる石(せき)鏃(ぞく)などが出土しています。古代人は栴檀野の豊かな森で木の実の採集や動物の狩猟をし、川で漁猟などをして生活をしていたのでしょう。

 市内には縄文時代の遺跡がいくつも存在します。太古の人々がどのような生活をしていたのか。その暮らしぶりをうかがい知れる遺跡は貴重な存在です。