正倉日記

 

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祖泉の地蔵半跏像

2021.12.11

祖泉の地蔵半跏像

祖泉の地蔵半跏像

祖泉の地蔵半跏像

祖泉神社の鳥居前の小堂にいらっしゃるお地蔵様は、南北朝期から室町初期の作と見られるとても古いお地蔵様です。磨耗や欠落が激しい状態ではありますが、肉厚で丸みをおびた感じが優しい印象のお地蔵様です。左ひざを曲げた半跏の状態で座っていらっしゃいます。


膝の状態は見えないですね(^^;)
 
毎年10月30日に地域住民の有志の皆さんによって地蔵祭りが開かれています。






祖泉の地蔵祭り

祖泉の地蔵祭り

現在、祖泉の地蔵祭りには宮丸の西方寺さんがおまいりをされています。かつては瑞泉寺さんからお参りにこられていたそうです。お寺さんが変った理由にはこんなお話が。
 
 
昔、祖泉には大きなケヤキの木がありました。地域の住民達は、「この木はいつか西方寺さんに差し上げます」と約束をしていたそうです。
 
明治15年に瑞泉寺さんが火事で焼けてしまいました。瑞泉寺さんの大きな御堂を再建するには大きな木が必要となり、探したところ祖泉のケヤキはどうだろうということになりました。
 
 瑞泉寺さんが地域住民にケヤキの寄進をお願いしたところ、住民達は「これは西方寺さんにあげるものだからダメだ」と断りました。
 そこで、瑞泉寺さんは「ケヤキを寄進してもらう代わりに、祖泉の地蔵祭りはこの先ずっと西方寺さんにお参りしてもらうことにします。」と約束をし、ケヤキを寄進してもらうことができました。
 
 昔は地蔵祭りに参加する住民も多かった為、お祭りの際に集まるお布施はとても多く、米俵なんかは荷車を引いて帰るくらいだったのではないかとのこと(西方寺住職・談)
 
 地元のお寺を大切に思う住民の皆さんは、それだけ巨額のお布施が西方寺さんにいくのであれば、ケヤキをお渡しするのに匹敵すると考えたのでしょうね。信仰心の厚さが伺えるお話でした。
 
 600年くらい祖泉に鎮座するお地蔵様。お近くの方はそっとのぞいてみられてはいかがですか?


【2012年10月31日11:51 「ふるさと学芸員の小窓」より】