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「砺波郷土資料館」の記事

幻の金唐革紙

2014.7.13

'・:;.。☆明治の洋館を飾った日本の技術☆。.::・'

1F頭取室の天井

1F頭取室の天井

江戸時代後期、西洋から輸入した革の装飾品「金唐革」(きんからかわ)を模して作った高級擬革紙、金唐革紙(きんからかわかみ または きんからかわし)。
型押しした和紙にニカワや漆を塗ることで固い革のようにし、そこに金・銀箔、彩色などを施したもので、日本人が考案した技術、技法である。
明治期に万国博覧会へ出品し、海外のジャポニズムファンの目に留まったことで、明治政府は輸出品としての金唐革紙に着目した。
政府主導の元改良を重ねた金唐革紙は、西洋の上流階級宅やイギリスのバッキンガム宮殿の壁を飾った。
当時日本でも鹿鳴館や国会議事堂などの西洋建築物の壁を飾った。旧岩崎邸などには広い範囲に金唐革紙が施されている。(現存しているが修復されている)
しかし第二次大戦前には産業も技法も途絶えていることから、現存する金唐革紙は少なく、修復が施されていないオリジナル金唐革紙は日本に数件しか現存していない。
その中でもこの郷土資料館、旧中越銀行本館には、明治期に作られたままのオリジナルの金唐革紙が残されており、施工面積、柄の種類、保存状態すべてにおいて上位に位置することは間違いない。

2階の小部屋の金唐革紙
小部屋の天井には比較的細かい模様の金唐革紙が施されている

小部屋の天井には比較的細かい模様の金唐革紙が施されている

この建物には4種類の金唐革紙が施されている。吹き抜け天井の金唐革紙は、離れた距離から見て美しく見える大柄の模様を、2階の小部屋には近い距離からみて美しく見える細かい模様の金唐革紙が施されている。明治の建築家の美意識が随所に見られる建物である。

2階役員会議室の金唐革紙
チューリップ模様の金唐革紙

チューリップ模様の金唐革紙

偶然にもチューリップ模様の金唐革紙が施されている。この建物が建てられたのは明治42年。砺波の水野豊造が初めてチューリップを植えたのが大正7年。そして今、この建物がチューリップの花に囲まれるとは、誰が予想しえただろうか。

  • 吹き抜け天井

  • 吹き抜け天井

    吹き抜け天井の金唐革紙アップ

  • 吹き抜け天井の金唐革紙アップ

    花をモチーフにした金唐革紙

所在地
〒939-1382
 砺波市花園町1-78 チューリップ公園内 (南口)

お問い合わせ

砺波郷土資料館
TEL: 0763-32-2339
FAX: 0763-32-2436