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B−2散村の暮らし

2014.5.20

【リサイクル施設の灰納屋】

灰納屋

灰納屋

砺波平野にある農家の家には、屋敷の出入り口近くに灰を入れる1.5メートル四方ほどの小屋が建っていました。これらは灰を入れておく灰納屋で、中は土壁の塗りごめで上から灰を入れて下から掻き出すようになっています。

 散村の農家では山が遠いので、燃料はほとんど稲わらに頼っていました。カイニョのスギの落ち葉(スンバ)や下枝もありましたが、これは来客時の暖房用で貴重品でしたから、なるべくワラで煮炊きが行われました。そのため灰がたくさんたまり、朝起きると、まずいろりの灰を取って灰納屋に入れるのが主婦の日課でした。灰は、カリ肥料としたり、春先に田んぼに撒いて消雪用に使ったりしました。

 このように灰納屋は、生活で不用となったものを有効に利用するリサイクル施設の典型ともいえます。燃料がガスや電気に代わるといろりは使われなくなり、今では屋敷の入口付近に灰納屋がある家を見かけることも少なくなりました。

【家づくりの思い出話】

おら、嫁に来たとき、この家はまだクズヤやったちゃ。

雨漏って ばたばたやったが どうしても 家建てんなん ゆうて

コビキサに 屋敷の木 切ってもろて

田んぼ終わったとこに 大工小屋建てて 冬の間に 仕事してもろたがや

タチマエゆうたら

いまみたいに レッカーやなんやら 便利な機械 ないもんやけで

イッケ(親戚)の人や 近所の人に 来てもろて

みんなで ソーレゆうて 大黒柱やら おぼたいウシやハリを あげたもんやちゃ

カワラも 背中にかづいて アズマの屋根へ ハシゴで 運んだがや

なんのせ おとろしかったちゃ

とうちゃんが 四十一のときに うち建て始めて

苦労して やっと出来たら やまいがでて

とうちゃんが四十七で 死なはったはがやちゃ

二人で たいそして 建てたもんで 大事にして 住んどりますちゃ

油田のおばあちゃん(大正12年生まれ)から2001年に聞き取りした話


【砺波市立砺波散村地域研究所『砺波平野の散村「改訂版」』2001年より抜粋】