砺波・南砺一帯は、古くは在地の豪族利波臣志留志が東大寺の大仏造営事業に関与したことから東大寺の荘園が開墾され、歴史の表舞台にその名が現れた由緒ある土地柄である(金田1998)。世界遺産にも登録された五箇山周辺をはじめ、現在文化庁が進める「重要文化的景観」の候補にもなり得る散村景観、越中の小京都とも呼ばれる城端など、全国的にも名高い観光資源が存在している。
しかしながら、散村景観については、政策的な意味での「観光振興」に行政が本格的に着手したのは、今から僅か3年前の2010(平成22)年度以降のことに過ぎない。長岡(2011)によれば砺波市は庁内に「観光振興戦略室」を設置し、月に一度、官・学・民が会議を重ねて、「観光振興戦略プラン」を作成した。その骨子は、
(1)チューリップフェア
(2)散居村および散居村展望台
(3)道の駅
(4)砺波市ホームページの観光情報
の4項目からなり、平成23年度から27年度の5年間で観光客数の「10%増」を達成することを目標に掲げている。この内容からも明らかな通り、砺波市の観光振興は事実上、(1)と(2)に重度に依拠していると言って良い。このうち(2)については上述したとおり解題がなされるものと思われるので、砺波市域については主として(1)を後述する。
一方、長岡(2011)が触れていない南砺市については、管見の限り類洞的な動きはなく、一般的な地方自治体と同様に観光協会が広告的な業務を行っているに留まる。また南砺市の代表的な観光資源である五箇山や城端についても前述の通り別章にて手厚く言及がなされると思われる。南砺市の域内には他にも、舞台芸術家を招聘したことがきっかけで進められたある種の観光ガバナンス(富山県利賀芸術公園財団)や森林組合が進めている蕎麦を生かした観光振興が旧利賀村で試みられているが、これについては拙稿「利賀村の変容」をご参照いただくこととし、本稿ではそれ以外の観光振興について時系列に整理しつつ、いくつか特徴的なものを概観するにとどめたい。
2014.12.413五箇山・砺波巡検
2014.12.412−2明治以降の散村集落の変化−砺波市小島集落の事例−
2014.12.412−1明治以降の散村集落の変化−砺波市小島集落の事例−
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2014.5.9Facebookページをオープンいたしました!
2013.6.14大般若会について補足。
2013.6.14大般若会(だいはんにゃえ)
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