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砺波に暮らすとは 2013.3.26
専門家や職人たちが職業を通じて、伝え、守っていくことが必要

砺波に暮らすとは

[近江吉郎さん(富山県建築士事務所協会会長)]
「景観」は一戸ではつくれません。周囲のコンセンサスを得ながら、地域でつくっていくものです。中身は思い思いでもいいのですが、外観は、地域全体のものだという意識が大切だと思います。
お客様の意見を聞くことも大切だけれど、この地域ならではの素材や技術等をちゃんと学び、それを活かしていくことはプロの役割です。
昔の職人や大工たちは、地域に培われた倫理観と「名残り」のする仕事をやるぞという気概を持って、仕事をしていました。それが、結果的に、地域性を作り出し、伝え、守ってきたのだと思います。
しかし最近は、地域のことを知らない専門家も多いのが残念です。よくしてきたのも悪くしてきたのも専門家かもしれません。
人間らしい豊かさとは、実は不自由を楽しんで暮らせるということではないでしょうか。今こそ、自分のすぐ近くにある大事なものに目を向けていくべきではないでしょうか。

時代とともに変化する散居の形態を、いかに維持していくか

[入道忠靖さん(庄西用水土地改良区理事長)]
「神様や仏様が見ているから悪いことしたらあかん」と聞かされて育ってきました。見えないものへの畏怖と畏敬の念は、私の考え方、生き方の土台とも言えるものです。その上に日常生活が成り立っていました。
また、幼い頃から「この家を守るなら、お前はどうするか?」と、親父に言われながら育ちました。中学生になる頃には「百姓としてこの家を守る」と既に決心していました。百姓は、働けば働くだけ、工夫すればするだけ自分に返ってくる仕事です。新しい品種の育成や作業効率をあげる機械を開発したりと、夢を持って、一生懸命働いてきました。
その甲斐あって、蔵と納屋の新築、屋根瓦の葺き替え、床張りを、私の代ですることができました。平成10年には、県の指定文化財にもなりました。
時代の流れが刻々と変わっていく中で、昔のものを保存するというのは大きな負担ですが、先祖が建てて、住み継いできた苦労に応えるためにも、誇りを持って残していきたいと思っています。しかし、アズマダチを取り巻く環境も変わってきました。時代の移り変わりとともに景観は変化しているので、新しい散居のあり方を創造していかなくてはいけないと思います。

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