スギ・ヒノキ等の森林にはいると、ほのかで、すがすがしい樹脂の匂いに包まれる。これは、常緑針葉樹のみではなく、落葉広葉樹からも芳香が発散されるものであうr。この本体は「フィトンチッド」と呼ばれている。「フィトン」とは植物のことで「チッド」とは殺すという意味であるという。つまり、植物は微生物を殺す作用を持つ物質を発散しているのである。これが人間にもいい効果をもたらすことが指摘しされている。
山でけがをしたときは、何でもいいから違った木の葉を3種類ちぎって、よく揉んで貼れば、絶対に化膿しないし、傷も早く治るという。また、手術をするときの手術台の下に、スギ・ヒノキの枝葉を入れておけば化膿しないとか、シイタケの榾木をスギ林の中におくとシイタケの金がよく繁殖するとか、部屋にトドマツの枝葉を入れておけば、空気中の細菌類が大幅に減少する等、昔から言い伝えがあるが、これらは葉や枝から「フィトンチッド」が発散され微生物の活動を抑制している証拠といえよう。
緑に囲まれた繁みが、単に緑の景観をそえるものだけではなく、このように人間などの生体にとって有益な「フィトンチッド」を発散しているという事は、森の生気象の持つ重要な要因である(共立女子大教授神山恵三著『気象と人間』より)。
砺波地方の散居村には、古くから、スギを主体とした屋敷林が発達してきた。これは、長い間に地域の気候風土に根付いてきた生活文化であり、環境文化であった。
しかしながら、昭和30年代に入って、スギで囲まれた鬱蒼とした屋敷林は、光が入らないため、くる病が発生するとか、住環境としては健康に良くないなどとして伐採運動が展開された。
爾来、スギを主体とした屋敷林は急速に衰退してきた。勿論、生活様式の変化は大きな要因ではあるが。しかし、くる病が出たわけでもなく、風土病があったわけでもない。むしろ、スギ林を中心とする屋敷林が発散するフィトンチッドの効用をかんがえると、健康の保持増進に多大の好影響を及ぼしていたと推察できるのである。衰退しつつある砺波の屋敷林を森林浴の効用という面から見直し、現代に合致した新しい形の屋敷林を創造したいものである。
森林が厳しい気象条件を和らげる機能に「オアシス効果」がある。暑い夏の日、炎天下の舗装道路から屋敷林に踏み入ると、その涼しさにホッと一息つく。屋敷林の樹木は強い日射しを遮るばかりでなく、葉の蒸散作用で水分を大気中に運び、その際に気化熱として熱を奪うので、周りの気温を下げる働きをする。屋敷林内が涼しく感じるのはこのためである。また、冬は屋敷林をつつむ枝葉が冷たい風によって熱が奪われるのを防ぎ、寒さを和らげる。この効果は平野全体の気温にも大きく影響する。
かつて、屋敷林は防風林としての役割が大きかった。建物の近代化で防風効果に対する意識がしだいに薄れつつある。しかし、防風林の効果は風上側で樹木の高さの約5倍、風下川で約20倍位といわれているように、屋敷林が平野全体の風を弱める働きをしていることは忘れてはならず、台風やフェーンの猛烈な風には十分効果が期待できる。
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