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千光寺書院 2013.4.7
贅を凝らした優美な書院

千光寺書院

千光寺書院(せんこうじしょいん)
附.芹谷山新座式建築工事中大工職毎月人工〆上帳一冊
(つけたり せりだにさんしんざしきけんちくこうじなかだいくしょくまいつきにんくしめあげちょういっさつ)

平成12年12月7日・市指定
砺波市芹谷

 明治29年(1896)砺波市太田の藤井助之丞(すけのじょう)により建てられた千光寺書院は、間口7.4間(13.4m)、奥行き5.8間(10.5m)、1階建、両切妻(きりづま)造り平入り、瓦葺きです。中庭に向かい東面して建ち、北側の土蔵の戸前も同時に建築されたようです。
 外観は比較的質素で押さえ気味、内部は銘木を多用していますが、華美に走らず洗練されたデザインで質の高い造りになっています。
 千光寺文書「芹谷山新座式建築工事中大工職毎月人工〆上帳」によれば、明治29年4月から12月にかけて、大工延べ3232人を要して建てられ、助之丞作図の「新座式(敷)木口絵図」(砺波郷土資料館蔵)には、入口の間、次の間、御座敷、サヤの間、茶席の書き込みがあり、各部屋に床の間が設けられています。玄関の戸は屏風折状の扉を使い、御座敷から玄関を通し直接庭が眺められるように構成されており、照明器具も建築当時のものが残され、洋風を意識した時代的特徴を表しています。御座敷の違い棚の海老束(えびづか)(違い棚の上下の棚板の間にある束(つか)柱)には一角クジラの角を使用しており、京都で調達したと伝えられています。
 この書院は、国指定重要文化財の福野高校「巌浄閣(がんじょうかく)」や砺波市指定文化財「旧中越銀行本店」などの設計・建築を手がけた明治大正期の名工藤井助之丞によって建てられたもので、明治中後期の代表的書院建築として建築史上価値が高いといえます。

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アクセス
砺波ICから車で20分

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