砺波正倉とは?

「砺波正倉」とは、砺波市教育委員会が運営するデジタルミュージアムの名称です。

なぜ「正倉」という名称を使うのか。

「正倉」というと奈良東大寺の「正倉院」を思い浮かべる人が多いと思います。
正倉院は聖武天皇・光明皇后ゆかりの品々を納めた、いわば公式の倉。
奈良時代に建てられた歴史的な建造物で、教科書にも載る「校倉造(あぜくらづくり)」でも有名です。

「正倉」とは「正税を納めた倉」という意味で、律令時代に全国各地の役所に作られました。
その中で正倉を塀で囲んだ一画を正倉院と呼んだのです。
正倉院は、南都七大寺(興福寺・東大寺・西大寺・薬師寺・元興寺・大安寺・法隆寺)がそれぞれ有していましたが、
後世に廃絶し、東大寺だけが残り、固有名詞化したものです。

はるか昔、砺波にも「正倉」はありました。

滋賀県大津市の石山寺に「越中国官倉納穀交替記残巻(えっちゅうこくかんそうのうこくこうたいきざんかん)」という古文書が残されています。
これは平安時代、越中国砺波郡内にあった3村の正倉について書かれたもので、
西暦751年から901年にかけて正倉に収納した稲穀や潁稲の記録が書かれています。
律令制の地方財政を研究する上で第一級の資料として知られていてます。
これほどの記録は全国に残っておらず、国宝に指定されています。
歴史学の世界では、「正倉」といえば「砺波」の代名詞のようなものなのです。

そこで、アーカイブ(記録を保管しておく場所)が「倉」を連想させることから
砺波とゆかりの深い「正倉」という言葉を、デジタルアーカイブの名称に採用しました。