正倉日記

 

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水野豊造ものがたり

2017.4.27

なぜ?砺波にチューリップ?

イラスト:チューリップの父 水野豊造

イラスト:チューリップの父 水野豊造

富山、砺波といえばチューリップが有名ですが、そもそもなぜ砺波にチューリップがあるのでしょう?
今から100年ほど前の大正6年、富山県砺波郡庄下村矢木というところの小作農家に水野豊造という青年がおりました。
この砺波地方、米作りが盛んなところでしたが、それだけでは生活が厳しく、冬の農閑期には、村の若者が都会へ出稼ぎに行っていました。しかし豊造はあまり体が丈夫でなかったので、村に残っていました。
冬の間、村で出来る副業はないかと植物のカタログを見て注文していました。
大正7年の春、前年に田んぼの隅に植えた10球に花が咲きました。見たこともない、とてもきれいな花だったので、出町の市場で売ると、1本5銭、10本で50銭で売れました。不況で米の値段が上がり、1升(1.5kg)と同じ値段でした。生きることに大変だった時代、米と同じ値段で花が売れたことは豊造にとって驚きでした。来年はもっと多く作って売ろう!

これが豊造がチューリップと出会いです。
その後、大正12年、出荷間近の畑が荒らされ、花首折られました。残念で、悔しくて、枯れるまで畑をそのままにしていました。次の作物を植えるため、球根掘り起こしてみると、球根が植えた時よりも大きく立派になっていました。花を折ったことによって花へ行く栄養が球根に溜まり太ったのです。これはいいと裏作にチューリップの球根栽培を始めました。
これが砺波にチューリップが根付いたきっかけです。

今年は豊造とチューリップの出会いから100年!の記念すべき年です。