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「『五箇山から砺波へ』」の記事

4世界遺産・重要伝統的建造物群保存地区

2014.11.11

T世界遺産に至るまで

第1図

第1図

1史跡

 合掌造り家屋は、五箇山の特殊産業であった煙硝製造、紙すき、養蚕製糸などを行う作業場を常に確保しなければならないことと、一年の半分近くを雪に埋もれて暮らすために付属建物を作らないで、生活のすべてを一棟の中に取り組む必要があったことなど、このような風土的生産的条件が合掌造りを作り上げたと考えられている。

 とりわけ、相倉。菅沼の両集落には多くの合掌造り家屋が存在すること、またその集落の周辺には、なだれから集落を守るための雪持林や屋根を葺く茅の茅場があることなど、わが国古来の由緒ある歴史環境がよく保存されていることにより両集落は昭和45年12月4日、国の史跡に指定された。

 これより先に、国は減少していく合掌造り家屋に危機感を抱き家屋調査を実施するとともに、その成果をもとに村上家、羽場家、岩瀬家の3家を昭和33年5月14日、国の重要文化財に指定した。

2重要伝統的建造物群保存地区

 両集落は、伝統的建物である合掌造り家屋や板倉が立ち並んだ山村集落である。その建物群が周囲の環境とともに歴史的風致を形成していることから、伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示している地区として、平成6年12月21日、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。

U世界遺産
第2図

第2図

1はじめに

 朝倉・菅沼集落は白川郷とともに平成7年12月、ドイツのベルリンで開催された第19回世界遺産委員会で文化遺産として、世界遺産リストに登録された。日本では4番目の世界異文化遺産となった。

2遺産内容

(1)名称
 白川郷・五箇山の合掌造り集落

(2)面積等

地区名  遺産面積伝統的建造物 
相倉(五箇山) 18.0ha 72棟
菅沼(五箇山) 4.4ha 30棟
萩町(白川郷) 45.6ha 124棟


(3)登録の該当した基準
ivとvである。

iv:人類の歴史の重要な段階を物語る建築様式、あるいは建築的または技術的な集合体あるいは景観に関するすぐれた見本であること

v:ある文化を特徴づけるような人類の伝統的居住形態や土地利用の一例であること。特に不可避的な歴史の流れによってその存続が危うくなっている場合。

 合掌造り集落は「建築様式や技術的集合体、景観に関する顕著な見本」として文(iv)に、さらに「伝統的集落や土地利用の顕著な見本」として(v)に該当している、とされた。

(4)重要性

 3地区では、合掌造り家屋がまとまった建造物群として残り、なおかつ周辺の風景を含めた集落景観として保存されているのは当地のみである。また茅葺屋根の葺き替えは、今でも多くの人手を必要とし、伝統的な組の相互扶助によって行われてきている。

 江戸時代以来、集落の地理的な立地条件や境界、さらには土地利用にも大きな変化は見られず、歴史的集落としてかつての面影を伝えている。1950年以降に日本で経済状況が急激に変化したにもかかわらず、それらが残されてきたことは極めて重要である。

【第56回歴史地理学会大会実行委員会 砺波市立砺波散村地域研究所 巡検資料『五箇山から砺波へ』2013年より抜粋】

 


第1図:重要文化財 村上家の側面図と平面図
宮沢智士編 1980年「村上家住宅」『日本の民家2 農家・中部』学習研究社

第2図:相倉集落の家屋と遺産範囲
合掌造り集落世界遺産記念実行委員会1996「世界遺産白川郷・五箇山の合掌造り集落」