砺波ライフスタイルブック

 

関連タグのフォト

  • MORE

「散居村を住み継ぐ編」の記事

  • はじめに
  • 砺波平野の散居村(散村)は、水田に散在する杉木立ちと民家が見事に調和して、四季折々に豊かな表情を見せてくれます。その景観…
  • 散居村Photo(その1)
  • 昭和4年頃、東野尻村周辺で撮影された田植え風景(撮影者:小寺廉吉氏)
  • 散居村Photo(その2)
    • MORE

4 郷土や人間の美しさを 愛でながら住まう(その1)

2013.3.26

質素な日常を楽しみながら、人との集いやふれあいを愛おしむ家

郷土や人間の美しさを 愛でながら住まう

郷土や人間の美しさを 愛でながら住まう

<「炉辺談話」が人生を豊かにする>
小学校の教師として40年、その後10 年余は地域の教育行政に力を注いできた飯田さん。言葉や動きひとつひとつに、人間への鋭い洞察と深い愛情が滲み出ている。正方形のオモヤの真ん中にある中庭は、季節の移ろいや自然の豊かさを愛でるためのショーケースのようだ。玄関を上がると、その中庭の手前に置かれた花器が目に止まる。「心に余裕がある人は目が行く」と飯田さん。
飯田さんのお家には、四季折々たくさんの人が集う。客間は、2 部屋続けると20 名は優に入る。昔は子どもたちの夏休みの合宿場として、今は大人たちの宴会場として使われている。なんと、半世紀前から開催している会もあるそうだ。
「気楽に入ってきて、気楽に帰れるように」と、広い敷地の中に通称「アトリエ」を建てたのは20年前。使い込まれた囲炉裏がある。壁に目をやると、飯田さんが若き日に描いたという油彩や、最近催された宴会で饗されたメニューや、大好きな若山牧水の短歌が。毎年恒例の会や近所の忘新年会、ものづくり仲間たちとの宴会など、折りにふれ様々な集いが催されている。
中でもキムチの会は、毎年12 月の第一日曜日に、みんなで集まってキムチの素を仕込むというもので、もう16年も開催されている。これに季節の野菜を漬け込む楽しみは格別だそうだ。
「雪深い冬、火を囲み、膝も身体も寄せ合って、食べて語ることは、この地域の人々にとって、大切な情報交換や交流の機会でした。こういうコミュニケーションを『炉辺談話』というんですよ」と飯田さん。公民館もなかった時代、宴会をしたり共同作業をしたりする場所は、各家々が持ち回りで提供した。プライベート空間でありながら、地域と適度な距離を保つ役割も担っていた砺波の住まいは、なんと奥深いのだろう。 

飯田邸
飯田邸

飯田邸

32年前、屋敷林や庭園をそのままに、アズマダチ風の母屋を新たに建築。20年前、仲間が集えるアトリエも建築。

家主の飯田敏雄さん

家主の飯田敏雄さん

家主の飯田敏雄さん

つなげると20名は優に入る客間

つなげると20名は優に入る客間

つなげると20名は優に入る客間

  • アトリエの囲炉裏にて

  • アトリエの囲炉裏にて

    中庭と飾られた花

  • 中庭と飾られた花

    毎年漬けるキムチ