6 昔の職人たちの 息づかいを伝える(その1)
2013.3.26
いくつもの世代を越えた絶妙な職人技に敬意を払いながら、遊び心と感性を解放するお店
昔の職人たちの 息づかいを伝える
<柱一本から感じ取る 材と技の職人リレー>
お店のオーナーの河合さんは、建築設計から施工、土木工事から小物までトータルでデザインとコーディネートを行う会社の代表だ。店内には、懐かしい家具、器具、食器、着物や書物などから、一見では用途のわからないものまでが、絶妙なバランスでディスプレイされている。
この家屋を知人から借りたのは、至る所に感じられる職人の息づかいのせいだ。「こんな貴重な技の結晶をなくしてしまうのは、あまりにも惜しいと思いました」
曲がり、硬い節、逆目など木にかかったストレスや特性をうまく利用してあったり、クレーンもないのに見事に組み立ててあったり、梁や柱など細部にわたり、卓越したバランス感覚やセンスを感じるそうだ。昔は、大工よりも、材を切り出す職人の方が偉かったらしい。製材・加工機のない時代に何時間も手作業で丸太から板を挽く。目につかない下地材であってもだ。人の感性は、手作業によって磨かれていくのだろう。
「住む人だけでなく、関わる職人たちも変遷しているんです。昔の職人たちは修理や改修の際、前の職人に敬意を払いつつそれを利活用してきました。これは古来からの再生法で、家主に負担をかけず安く納める知恵でもあるのです」時を越え、職人たちがリレーしている。河合さんは4 年前、そのバトンを受け取ったのだ。
苧麻(ちょま)
苧麻(ちょま)
建物を取り壊したいと相談を受けたが「希少な伝統的家屋がなくなってしまうのはあまりにももったいない」と、家主から借り上げ、ディスプレイ提案のショールーム兼雑貨店として、2007年、富山市から移店。カフェも併設。
中庭の風景と棚の器のバランスが絶妙
中庭の風景と棚の器のバランスが絶妙
土壁の土をきれいに取り除いた後、竹やヨシで編まれた骨組みをそのまま活かした内装に
土壁の土をきれいに取り除いた後、竹やヨシで編まれた骨組みをそのまま活かした内装に
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器や骨董品がセンス良く並ぶ店内
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懐かしい手まりや鳥かご