庄川の流送について(その2)
2013.3.28
山出し(伐採された木材を山林から川の縁まで運ぶ)
木材を積んだ橇(そり)
現地の地形に合わせた木製レールの木馬道や、木材を運び出す橇も全て自分たちで造り上げ、木材の運び出しをしたのです。
この木馬道は長いのは4q余りにもなるものがありました。
彼等は土木技術に長けていたのです。
谷出し(山が深い場合、谷を利用して木材を本川まで運んだ)
鉄砲出し
伐採が年々進むにつれ、木材の切り出しが本川から随分と離れた奥山となる場合もありました。
そんなときには谷川を利用し、谷川の流れで木材を本川まで運び出す方法をとりました。
そのときの作業を「谷出し」と呼んでいました。
水量が少なく木材が流れにくい場合には「鉄砲」と呼んでいました。
木製ダムを谷川に築きそのダムに水を溜め、木材を浮かべ満水時にダムの扉を一挙に開き、 その時の水の勢いで木材を押し流しました。
「ドーン」という轟音とともに水と木材が一挙に流れだす様子から「鉄砲出し」と呼ぶようになったといいます。
奥山がさらに深くなり、谷川も長くなるにつれ、「鉄砲出し」の設置場所の数も増えていったといいます。
この鉄砲も、現場で必要に応じて地形に合わせて彼らが築いたのです。
山出し(伐採された木材を山林から川の縁まで運ぶ)
川狩りの様子
本川では木材を1本1本バラバラに流して送り出しました。
その後4人1組で川舟に乗り組み、バラ流しした木材が順調に流れているかどうか、 流木の様子を見ながら木材と共に川を下り貯木場を目指しました。
本流といえども山間の川であり、流れは岩を噛みときには深いよどみや浅瀬など 様々な様相を見せ、流木は浅瀬や岩に乗り上げたり深いよどみに沈んだりすることもありました。
川狩りの様子
4人1組の船頭は役割を持っていました。
前(舳先)と後ろ(艫)の2人は舟の安全走行に専念し、中乗りの2人は浅瀬に乗り上げたり、 岩にかかっている木材を流送鳶で流れに戻す役割に専念しました。
彼らは流送鳶が仕事中しっかり役割を果たせるよう、鳶口は毎朝真っ赤に焼いて鍛え直し、手入れを怠りませんでした。
また川での作業中、どんなに注意をはらっていても川舟が流木や岩と接触し破損することもあり、 その様なときは直ちに舟を修理する技術も身に着けていました。
彼らは仕事の段取りや事前準備に怠りがなく、現場で突発する様々な問題を直ちにその場で解決しながら、職務を全うするという自己完結型の集団だったのです。